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るみけってステキー!(以下エコ−)


多分三度めになるるみけ参加。いずれも一般。
でも毎回毎回幸せな作品との出会いがあって、うへへこれだから乱あ者はやめられまへんなぁな状態におります。
あんな同人作家さんこんな同人作家さんの新作が読めるのがステキ!
あんな同人作家さんこんな同人作家さんのイラストが見れるのがステキ!
あんならんま好きさんこんならんま好きさんとお会い出来て話せるのがステキ!
過去の見本誌とかが置いてあって「こ、この本ぜんぶ読んでいいんですかっ」な状態なのがステキ!
あああるーみっくってすーてーきー

毎回本作りたくなるんだよなぁ、こうやって同人やってる人たちの作品見ると。
また重い腰上げてみようかなぁ。
……何からやらなきゃいけないかって、まず机周りの掃除から、なところが切ないんだけれど。orz

以下、某サイトさんのエイプリルフール嘘企画を見たら唐突に思いついた小ネタを「ぷち小説」ってカテゴリ作って書いてみます。
あくまで小ネタなんでその後大ネタに化けて作品として書庫に置かれるか、それともここで小ネタのまんま終わるかは謎。
書き出そうとしてる自分すらわからないのだから作品ってイキモノ。

【嘘から出た誠】

なにを隠そう、あたしは嘘が下手だ。

昔からなにか嘘をつくと、目が泳ぎ顔は火照り両手がぐるぐると意味もなく振り回される。
それを見てなびきおねえちゃんは「……あたしをごまかそうったって無駄よ、あかね」と冷たく言い切る。冷たい瞳の光に、あたしの背筋は凍り付く。
かすみおねえちゃんはにこにこ笑いながら「ムリしなくていいのよ、あかね」と優しくあたしの肩に手を置く。それは時にどんな断罪の言葉よりも残酷な仕草。
いちばんあたしの嘘にだまされてくれるのはお父さんなんだけど……あたしは知ってる。たまにお父さんは、あたしのつく嘘を嘘だと知りつつだまされてくれていたり、している。

乱馬が来るまで、この家の中で嘘をつくのがいちばん下手なのはあたしだった。
エイプリルフールにいちばんだまされるのもあたし。エイプリルフールにいちばん笑われるのもあたし。
いつもそれが悔しくて、どうにかして汚名を返上しようとするのだけれど、どの試みも成功した試しがない。

でも、乱馬が来てから、この家の中で嘘をつくのが下手な人が二人に増えた。
いちばんだまされる人も二人に増えた。
あたしはそれが、ちょっとだけ嬉しかった。



「あかねー」
なびきお姉ちゃんがあたしを呼ぶ声。今年はだまされるもんか、と、用件を聞く前からあたしは身構える。
「何? おねえちゃん」
「乱馬くんが呼んでたわよ」
「……嘘でしょ?」
「……疑り深いわねえあかねも」
「何年ごしにあたしがおねえちゃんに騙され続けてきたと思ってるの?」
「あら、あたしがかーわいい妹に今まで嘘をついたことがあって?」
「今ついてるじゃない」
あはははーと悪びれずに笑って、おねえちゃんはぱたぱたと手を振った。
「あかね好きだーって乱巻くんが言ってたわよ、あかねに今すぐ会いたいーって」
「その冗談おもしろくない」
「まあ、その歯が浮くセリフは嘘だとして、道場で呼んでたわよ。今日は気分がいいから手合わせしてやる、とか言ってたかしらね?」
「えっ!」
てあわせ、の四文字にあたしの耳がどん欲に動く。気がついた時には部屋に飛び込んで、あたしはTシャツと道着のいつもの姿に着替えていた。準備万端にととのったあたしは、そのままばたばたと道場に駆け込む。
果たして、乱馬はそこにいた。ちょうど一つの型が終わり、すう、と全身から気を吐き出した直後。

「お、あかね?」
「手合わせしてくれるって!?」
弾む息のまま乱馬にそう問いかけたら、乱馬はきょとんとした顔をした。
「……何の話だ?」
「だって、なびきおねえちゃんが」
「……おれ、道場に入ってからなびきと顔合わせてねえぞ」
「……そうなの?」
「そうだよ」

……早い話、あたしは今年もまんまとおねえちゃんに騙されてしまったのだった。
途端に迂闊なあたし自身と、あたしの引っかかる嘘を的確についてくるおねえちゃんに対し同時に怒りが爆発する。
「もーっ! 今年もやられたー!」
地団駄を踏んで悔しがるあたしを、きょとんとした顔のままじろじろと眺め回す乱馬。数秒の後状況を理解したらしく、乱馬は嫌らしくにやりと笑った。
「なーんだ。おめえなびきに騙されてここ来たんだ?」
「言わないでよわざわざっ! ああもう、今年こそはやられないようにって気をつけてたのにー!」
「トっロいな〜」
「うるさいっ!」
びゅう、と乱馬に向かって拳を突き出す。乱馬は笑ったままそれをよける。
「おめー単純だもんなー」
「そんなことないもんっ!」
「今どきエイプリルフールに引っかかるって、ぷっ……だっせ」
「しつこいっ!」
闇雲に攻撃を繰り返すけれど、それらはことごとくよけられていく。気がつけば悪口の応酬もなくなり、あたしは本気で乱馬に挑みかかっていた。

数十分間もそれを続けていただろうか。息の上がったあたしはようやく気がついた。
結局のところ手合わせっぽいことをしてもらっている。嘘から誠が出て来てしまっていたことに。
道場の冷たい床にぺたんとへたりこんだあたしに、乱馬は笑いながらタオルを差し出してきた。
「体力ねーなー」
「わかってる……わよっ」
素直にそのタオルを受け取り、額ににじむ汗を拭いた。ふう、と一息つくと、隣に乱馬もぺたんと座り込んだ。
「それにしても『手合わせしようって言ってた』って嘘に騙されるなんて、色気もくそもねえ嘘に騙されるもんだなお前」
「ふーんだ。手合わせしてって言ってるのに、ずーっとしてくれないどこかの誰かさんが悪いんですー」
「オレに責任転嫁かよ」
「それに、色気のある嘘ってどんなのよ、まったく」
「……それはその、だなあ……」
語尾をごにょごにょと濁らせて、乱馬が顔を少し赤くした。一体なにを想像しているのやら。

——あかね好きだーって乱巻くんが言ってたわよ、あかねに今すぐ会いたいーって……
なびきおねえちゃんがさっき言ってた言葉がぴん、と頭にひらめいた。
今日はエイプリルフールだし、たまには……騙される方から騙す方へと、回ってみたいかもしれない。

くりんと乱馬に向き直る。乱馬が元々赤かった顔をもっと赤くした。
『オトコはオンナの上目遣いに弱い!』と書いてあった雑誌の記事を思い出しながら上目遣い。少し唇を突き出すように、ちょっとぶりっこな声を作って、これが嘘だってわかるように。

「……ほんとはね、かっこよくてオトコらしくてたくましーい乱馬の姿を見たくて、ここに来たの」

語尾にハートってどうやってつけるのかしら? 噴き出しそうになりながら、それでも堪えてあたしは続けた。

「格闘をしてる時の乱馬……とってもステキ。惚れ直しちゃうわ」

わざとらしくしなを作ってみたりした。なんか、ここまでやるともう面白い。どぎまぎしてる乱馬から流れ落ちる滝のような汗とかを見ると、なんて単純なんだろうと思う。

「あ、あかねっ。いっ、いいい……一体どーしたんだ、いきなりっ」
顔をこれ以上ないぐらいに真っ赤にして乱馬が言った。どもっちゃってか−わいい、と思える余裕すら、今のあたしにはある。
騙すほうってなんて楽しいんだろう! 笑い出したくなるのを必死でこらえながら、あたしは立ち上がった。今の乱馬のこのリアクションをみんなに言いふらして回りたい! そしてみんなで笑い転げたい!
とどめをさすように、あたしは言った。

「乱馬、だいすきっ」


ぽかんと口を開ける乱馬を背に、あたしは道場を出た。あの呆気にとられた乱馬の顔といったら!
乱馬に背を向けた途端くすくす笑いが止められない。
みんな聞いて聞いて、乱馬ったらエイプリルフールなのにあたしの嘘告白をこんな顔して聞いてたのよ——そう言って乱馬をからかいたくて仕方がない。毎年毎年あたしに嘘をつき続けるおねえちゃんの気持ちが、今日やっとわかった気がする。楽しくて仕方がない!
「ちょ、ちょっと待てあかねっ。どっからどこまでが嘘だ!? エイプリルフールだろ今日っ! おいっ!」
乱馬の困ったような怒鳴り声が道場に響き渡る。


決まってるじゃない、今日はエイプリルフールだもの。
イチから十まで嘘に決まってるじゃない。今日はそういう日だもの。


……顔は赤くなってるけど、目は泳がないし両手もばたばた動かない。
嘘に決まってるのよ。だって今日はエイプリルフールなんだもの。
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紅茶と猫と読書と創作活動に永遠の片思い中。
読書傾向はミステリ読みだけど基本は雑食です。なんでもかんでもばっちこい。
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